※4/1ネタ
白銀の守護者よ、ナラを冠せよ-十二ヶ月の禁秘-
平成32年4月1日 公開決定!
【キービジュアル】

【ストーリー】

【キャラクター】

↓ 詳細は続きからをクリック! ↓
というわけで4月馬鹿をかねたお蔵入り没ネタ供養でした。
マハーバーラタでなにか創作しようと考えたとき、この”ブリハンナラー”か”十二年の旅”のどっちかにしようと思っていて、没った方になります。絵まで描いといてちょっともったいなかったので……エイプリルフールにかこつけて……すみません……。
そして! ここまでやったからには、ブリハンナラーの解説をしておきましょう!
◆ブリハンナラーとは?
その正体はアルジュナです。弊サークル2シリーズ目である”ナラ冠”の主人公、アルジュナが女装した姿です。
”十二年の禁欲”よりももっとあとの出来事になります。原典訳マハーバーラタだと4巻です。(十二年の禁欲は2巻)
◆ストーリー
【ブリハンナラー誕生】
十二年の旅よりずっと後のこと。やっと自分の国に帰ってきたアルジュナは、家族とともに平穏に過ごしていました。
しかし繁栄を妬んだ政敵の罠により、国を奪われ、家族ともども追放されてしまいます。(またか)
そのとき、『十二年を森で暮らし、十三年目を誰にも見つからずに過ごしたなら、国を返還する』と約定を結んだのでした。
十二年をつつがなく森で過ごしたアルジュナたちは、最後の一年をマツヤという国で潜伏して過ごすことになります。
誰にも正体を知られてはならない彼らは、それぞれ変装をします。長男は賭博師、次男は料理人、四男は馬の世話人、五男は牛の世話人、妻は王妃の侍女。そしてアルジュナは――
アルジュナ「私は女形であると称します。(中略)私は女となり、何度も物語を朗誦し、王やその他の宮中の人々を楽しませます。王(長兄)よ、私はヴィラータの王宮にいる女たちに、歌や多彩な踊りや種々の楽器を教えます。臣下たちに礼儀作法や仕事のやり方をたくさん教えます」
というわけで、女装してお姫さまたちの教育係りになったのでした。
【ウッタラと出兵】
平和だったマツヤ国ですが、あるときトリガルタという国の軍に襲撃され、牛を奪われてしまいます。
この一大事に、マツヤ国のヴィラータ王はすべての兵士と、それから料理人や賭博師に化けていたアルジュナたちの兄弟も連れて、トリガルタ軍と交戦しました。
この戦いは勝利に終わりましたが――実はマツヤを狙っていたのはトリガルタ軍だけではなかったのです。
クル軍。
ナラ冠のアルジュナが名乗りを上げている(バラタの末裔、クルの一族、パーンダヴァ五兄弟が三男~)のクルです。同じ一族なのですが、いまやアルジュナたちと袂を分かち、国から追放した張本人たちです。マハーバーラタにおけるアルジュナたちの宿敵です。
彼らはトリガルタと手を組み、トリガルタ出兵で手薄になったマツヤ国に攻め込むと、牛を根こそぎ奪って行ってしまったのでした。
このまま逃がしてしまってはマツヤ国は大ダメージ。なんとしても取り返さなければなりません。
しかし兵士たちはすべて出払ってしまっている。残っているのは女たちと――
留守を任されていた、戦闘経験のないウッタラ王子、ただひとりだけ。
突然ひとりで戦争に行けと無茶ぶりされたウッタラ王子。思春期特有の万能感だけを武器に「集結したクル軍は、今こそ私の勇武を見るであろう。『プリターの息子アルジュナ自身が我々を攻めているのであろうか』と。」と出兵を快諾します。若気の至りです。
そこで御者(戦車の運転手)として付き添ったのがブリハンナラーでした。
ブリハンナラー「お許しください。歌や踊りなら出来ますが、御者の役などどうしてわたしに出来ましょう……」
と弱々しく訴えるブリハンナラーに、お姫様たちは「ウッタラお兄様が守って下さるから大丈夫よ」と励まして送り出します。
そしていざ、ブリハンナラーの運転で向かった先でウッタラが目にしたのは――。
クルの大軍勢。
ビーシュマ、ドローナ、カルナ、アシュヴァッターマンなどなど、マハーバーラタの中でも最上位の将軍たちもそろい踏み。
そこへ現れたのが、女装の運転手を連れた初陣の少年王子。
勝ち目がない。
現実を目の当たりにしたウッタラは、ブリハンナラーに引き返すことを命じました。
ウッタラ「一人で若くて苦労知らずの私が、どうして多数で兵法に通じた敵に対抗することができようか。ブリハンナダーよ、引き返しなさい。」
ブリハンナラー「王族が逃げるなどということは前代未聞だ。恐れて逃げるより、戦って死んだ方がよい。」
ウッタラ「!?」
突如としてスパルタと化したブリハンナラーにビビったウッタラは戦車から飛びおります。逃げるウッタラ! 追うブリハンナラー! クルの兵士たちに笑われたのも無理はないでしょう。
とうとうウッタラを捕まえたブリハンナラーはこう言います。
「敵を滅ぼす勇士よ、もしあなたが敵と戦うことができないなら、敵と戦っている私の馬たちを操縦しなさい。私の腕の力に守られて、勇猛な戦士たちに守られた、難攻の、恐ろしい戦車隊に向けて進軍しなさい。敵を苦しめる最高の王子よ、恐れてはなりません。あなたは王族(クシャトリヤ)です。私がクル軍と戦い、畜生を取り戻します。最高の人よ、あなたが御者となり、難攻で近寄りがたい戦車隊に突入しなさい。私がクル軍と戦います。」
このように言って、無敵のアルジュナは、しばらくの間ヴィラータの息子ウッタラを励まし、それから、その最高の戦士は、その正気を失った、やる気のない、恐怖にかられた男を戦車に乗せた。
(原典訳マハーバーラタ 4巻 P536)
戦車に乗せられたものの、歯の根が合わないウッタラ。ブリハンナラーは、彼をシャミー樹のもとへ連れていきます。
その樹には一年ほど前から謎の荷物がくくりつけてありました。
ブリハンナラー「その荷物を開けてみてください」
ウッタラ「なんなんだよぉ……(半べそ)」
王子が荷物を開けてみると、中から出てきたのは、
英雄アルジュナが所有する、神弓ガーンディーヴァ!
ウッタラ「偉大な手練の勇士アルジュナの、黄金で飾られたこれらの武器は、燦然と輝いている。しかし、アルジュナ、ユディシティラ、ナクラ、サハデーヴァ、ビーマセーナはどこにいるのか。」
アルジュナ「――アルジュナは、ここにいる。わたしがアルジュナだ」
あの英雄アルジュナが目の前にいることが信じられないウッタラは、彼に問いかけます。
ウッタラ「俺はアルジュナの十の名前を聞いたことがある! 貴方があのアルジュナならば、その由来を全部言えるだろう!」
アルジュナ「ええ、聞きなさい。わたしの十の名の由来は――」
栄光とともに与えられた名前をすべて答えたアルジュナに、ウッタラは敬礼したのでした。
ウッタラ「私はブーミンジャヤ、そしてまたウッタラという名前です。アルジュナよ、貴方にあえて光栄だ。私が知らないで貴方に言ったことを許してほしい。私の恐怖は、いまやなくなった」
このあともまた、アルジュナが吹いたホラ貝の音にビビって腰を抜かして、抱きしめて励ましてもらったりするのですが。
なんやかんやふたりで頑張って戦い、圧倒的不利な状況をひっくり返して、クル軍から牛を取り返すことができたのでした。
めでたしめでたし。

正体を隠していて、あまつさえ舐められていた人が、土壇場で正体を表して活躍するというのは、やっぱりカタルシスがありますね。
読んでいてすごく盛り上がりますし、敵を追い返してハッピーエンドなのも嬉しい!
さて、このあと物語が進むと、マハーバーラタの山場であるクルクシェートラの戦いが起こります。
ウッタラはアルジュナの属するパーンダヴァ陣営として戦争に参加し、立派に戦い、最後には戦死するのです。
白銀の守護者よ、ナラを冠せよ-十二ヶ月の禁秘-
平成32年4月1日 公開決定!
【キービジュアル】

【ストーリー】

【キャラクター】

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というわけで4月馬鹿をかねたお蔵入り没ネタ供養でした。
マハーバーラタでなにか創作しようと考えたとき、この”ブリハンナラー”か”十二年の旅”のどっちかにしようと思っていて、没った方になります。絵まで描いといてちょっともったいなかったので……エイプリルフールにかこつけて……すみません……。
そして! ここまでやったからには、ブリハンナラーの解説をしておきましょう!
◆ブリハンナラーとは?
その正体はアルジュナです。弊サークル2シリーズ目である”ナラ冠”の主人公、アルジュナが女装した姿です。
”十二年の禁欲”よりももっとあとの出来事になります。原典訳マハーバーラタだと4巻です。(十二年の禁欲は2巻)
◆ストーリー
【ブリハンナラー誕生】
十二年の旅よりずっと後のこと。やっと自分の国に帰ってきたアルジュナは、家族とともに平穏に過ごしていました。
しかし繁栄を妬んだ政敵の罠により、国を奪われ、家族ともども追放されてしまいます。(またか)
そのとき、『十二年を森で暮らし、十三年目を誰にも見つからずに過ごしたなら、国を返還する』と約定を結んだのでした。
十二年をつつがなく森で過ごしたアルジュナたちは、最後の一年をマツヤという国で潜伏して過ごすことになります。
誰にも正体を知られてはならない彼らは、それぞれ変装をします。長男は賭博師、次男は料理人、四男は馬の世話人、五男は牛の世話人、妻は王妃の侍女。そしてアルジュナは――
アルジュナ「私は女形であると称します。(中略)私は女となり、何度も物語を朗誦し、王やその他の宮中の人々を楽しませます。王(長兄)よ、私はヴィラータの王宮にいる女たちに、歌や多彩な踊りや種々の楽器を教えます。臣下たちに礼儀作法や仕事のやり方をたくさん教えます」
というわけで、女装してお姫さまたちの教育係りになったのでした。
【ウッタラと出兵】
平和だったマツヤ国ですが、あるときトリガルタという国の軍に襲撃され、牛を奪われてしまいます。
この一大事に、マツヤ国のヴィラータ王はすべての兵士と、それから料理人や賭博師に化けていたアルジュナたちの兄弟も連れて、トリガルタ軍と交戦しました。
この戦いは勝利に終わりましたが――実はマツヤを狙っていたのはトリガルタ軍だけではなかったのです。
クル軍。
ナラ冠のアルジュナが名乗りを上げている(バラタの末裔、クルの一族、パーンダヴァ五兄弟が三男~)のクルです。同じ一族なのですが、いまやアルジュナたちと袂を分かち、国から追放した張本人たちです。マハーバーラタにおけるアルジュナたちの宿敵です。
彼らはトリガルタと手を組み、トリガルタ出兵で手薄になったマツヤ国に攻め込むと、牛を根こそぎ奪って行ってしまったのでした。
このまま逃がしてしまってはマツヤ国は大ダメージ。なんとしても取り返さなければなりません。
しかし兵士たちはすべて出払ってしまっている。残っているのは女たちと――
留守を任されていた、戦闘経験のないウッタラ王子、ただひとりだけ。
突然ひとりで戦争に行けと無茶ぶりされたウッタラ王子。思春期特有の万能感だけを武器に「集結したクル軍は、今こそ私の勇武を見るであろう。『プリターの息子アルジュナ自身が我々を攻めているのであろうか』と。」と出兵を快諾します。
そこで御者(戦車の運転手)として付き添ったのがブリハンナラーでした。
ブリハンナラー「お許しください。歌や踊りなら出来ますが、御者の役などどうしてわたしに出来ましょう……」
と弱々しく訴えるブリハンナラーに、お姫様たちは「ウッタラお兄様が守って下さるから大丈夫よ」と励まして送り出します。
そしていざ、ブリハンナラーの運転で向かった先でウッタラが目にしたのは――。
クルの大軍勢。
ビーシュマ、ドローナ、カルナ、アシュヴァッターマンなどなど、マハーバーラタの中でも最上位の将軍たちもそろい踏み。
そこへ現れたのが、女装の運転手を連れた初陣の少年王子。
勝ち目がない。
現実を目の当たりにしたウッタラは、ブリハンナラーに引き返すことを命じました。
ウッタラ「一人で若くて苦労知らずの私が、どうして多数で兵法に通じた敵に対抗することができようか。ブリハンナダーよ、引き返しなさい。」
ブリハンナラー「王族が逃げるなどということは前代未聞だ。恐れて逃げるより、戦って死んだ方がよい。」
ウッタラ「!?」
突如としてスパルタと化したブリハンナラーにビビったウッタラは戦車から飛びおります。逃げるウッタラ! 追うブリハンナラー! クルの兵士たちに笑われたのも無理はないでしょう。
とうとうウッタラを捕まえたブリハンナラーはこう言います。
「敵を滅ぼす勇士よ、もしあなたが敵と戦うことができないなら、敵と戦っている私の馬たちを操縦しなさい。私の腕の力に守られて、勇猛な戦士たちに守られた、難攻の、恐ろしい戦車隊に向けて進軍しなさい。敵を苦しめる最高の王子よ、恐れてはなりません。あなたは王族(クシャトリヤ)です。私がクル軍と戦い、畜生を取り戻します。最高の人よ、あなたが御者となり、難攻で近寄りがたい戦車隊に突入しなさい。私がクル軍と戦います。」
このように言って、無敵のアルジュナは、しばらくの間ヴィラータの息子ウッタラを励まし、それから、その最高の戦士は、その正気を失った、やる気のない、恐怖にかられた男を戦車に乗せた。
(原典訳マハーバーラタ 4巻 P536)
戦車に乗せられたものの、歯の根が合わないウッタラ。ブリハンナラーは、彼をシャミー樹のもとへ連れていきます。
その樹には一年ほど前から謎の荷物がくくりつけてありました。
ブリハンナラー「その荷物を開けてみてください」
ウッタラ「なんなんだよぉ……(半べそ)」
王子が荷物を開けてみると、中から出てきたのは、
英雄アルジュナが所有する、神弓ガーンディーヴァ!
ウッタラ「偉大な手練の勇士アルジュナの、黄金で飾られたこれらの武器は、燦然と輝いている。しかし、アルジュナ、ユディシティラ、ナクラ、サハデーヴァ、ビーマセーナはどこにいるのか。」
アルジュナ「――アルジュナは、ここにいる。わたしがアルジュナだ」
あの英雄アルジュナが目の前にいることが信じられないウッタラは、彼に問いかけます。
ウッタラ「俺はアルジュナの十の名前を聞いたことがある! 貴方があのアルジュナならば、その由来を全部言えるだろう!」
アルジュナ「ええ、聞きなさい。わたしの十の名の由来は――」
栄光とともに与えられた名前をすべて答えたアルジュナに、ウッタラは敬礼したのでした。
ウッタラ「私はブーミンジャヤ、そしてまたウッタラという名前です。アルジュナよ、貴方にあえて光栄だ。私が知らないで貴方に言ったことを許してほしい。私の恐怖は、いまやなくなった」
このあともまた、アルジュナが吹いたホラ貝の音にビビって腰を抜かして、抱きしめて励ましてもらったりするのですが。
なんやかんやふたりで頑張って戦い、圧倒的不利な状況をひっくり返して、クル軍から牛を取り返すことができたのでした。
めでたしめでたし。

正体を隠していて、あまつさえ舐められていた人が、土壇場で正体を表して活躍するというのは、やっぱりカタルシスがありますね。
読んでいてすごく盛り上がりますし、敵を追い返してハッピーエンドなのも嬉しい!
さて、このあと物語が進むと、マハーバーラタの山場であるクルクシェートラの戦いが起こります。
ウッタラはアルジュナの属するパーンダヴァ陣営として戦争に参加し、立派に戦い、最後には戦死するのです。